実証手続(substantive test)
会計監査の最終段階で実施される、各財務諸表項目に対する直接の検証手続です。
実証手続の種類は?
実証手続には次の2種類があります。
■分析的実証手続(substantive analytical procedure)
分析的実証手続とは、期待値と帳簿金額とを比較し、帳簿金額に重要な虚偽記載がないことを確かめる検証手続
■詳細テスト(test of details)
母集団に重要な虚偽記載がないかを確認するために、母集団を構成する個々の項目の分類や金額などを確かめる検証手続
分析的実証手続の作業の流れは?
- 関連する財務または非財務データに基づいて、帳簿金額に対する期待値を算出します。
- 算出した期待値と帳簿金額を比較し、その差異につき追加調査が必要か否かを決定します。
(追加確認が必要!といった大きな差異が出た場合には次のステップに進む) - 追加調査が必要な項目ついて、追加の分析・質問や関連書類を調査し、その差異の理由の妥当性を確認します。
- 対象勘定科目に関し重要な虚偽の表示があったかどうかの評価を行い、結論づけします。
詳細テスト手続の具体的内容
①観察
観察は資産の実在性を検証する場合に有効な手続です。
(例)棚卸資産の立会は、実在性を確かめる観察の代表的な例です。
②確認
確認は、外部の企業等から適切な監査証拠を入手できる場合に実施する手続です。
(例)銀行預金や売掛金などの実在性の検証する確認手続が代表的な例です。
※確認には、必ず回答をもらう「積極的確認」と提示した金額と違う場合に回答をもらう「消極的確認」があります。
③再計算
再計算は、その名のとおり再度、計算してみて計算の正確性を検証する手続です。
(例)算出された単価や実効税率について再計算する等、様々シーンが想定される検証手続です。
④文書閲覧・証憑突合
領収証、請求書、契約書等の文書の閲覧、又それら文書と突合することで会計数値の正確性を検証する手続です。
(例)文書(証憑)と会計記録とを照合する、最も一般的な検証手続です。