WEB取締役会は会社法で容認されている!
会社法上、取締役会に出席する各取締役が他の取締役と相互に十分な会議(適時的確な意見表明)ができる仕組みになっていれば、開催場所で「一堂に会する」(全出席者が物理的に存する)ことが求められているものではありません。
WEBシステム(テレビ会議)による取締役会の開催も合法と容認されています。
■会社法施行規則101条3項一号
▶▶「出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態」なら、電話会議でもOK!
「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」(法務省民事局参事官室平成8年4月19日付公表)
「電話会議の方法による取締役会の議事録を添付した登記の申請について」(民商3044号平成14年12月18日付民事局商事課長回答)
【留意点】
☑ 取締役会の現場にいる取締役の一人がその場にいない取締役会に電話して意見を聞きながら議事を進めるのはNG
(平成23年8月9日福岡地裁判決)
➡スピーカー機能を利用した電話会議であれば、要件を満たし問題なし。
取締役会議事録への表記
WEB、テレビ、電話を使って取締役会を行う場合には、「出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態」という要件が満たされていることを議事録でも表現する必要があります。
審議に入る前の記載例
議長は、審議に先立ち、TV会議システム(or電話会議システム)により、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態にあることを確認した。
審議終了時の記載例
本日のTV会議システム(or電話会議システム)を用いた取締役会は、終始異状なく議題の審議を終了した
開催日時 ●年●月●日●時●分(日本時間)/●時●分(イギリス時間)
開催場所 当会社本店会議室(東京都●●区●●●●)
出席取締役:●●●●、●●●●(テレビ会議システムによる出席)※
出席監査役:●●●●、●●●●
※複数取締役がテレビ会議出席の場合の記載例
以下の取締役は、テレビ会議システムにより出席した。
取締役:●●●●
取締役:●●●●
(開会宣言・定足数確認)
定刻、議長は、電話会議システムにより、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることを確認した。
続いて、議長●●●●は取締役会の開会を宣言するとともに、過半数に当たる取締役が出席していることから定足数が満たされており、本取締役会が適法に成立した旨を告げ、以下の議事に入った。
記
【第1号議案】 ■■■の件
~(略)~
(議事の経過・要領)
本日の電話会議システムを用いた取締役会は、終始異状なく議題の審議を終了したので、議長は●時●分閉会を宣した。
上記議事の経過及び結果を証するため、出席取締役及び監査役は、以下のとおり記名押印する。
●年●月●日
出席取締役
代表取締役 ●●●●
取締役 ●●●●
出席監査役
監査役 ●●●●
監査役 ●●●●
参考① TV会議容認の裏付け
「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」(平成8年4月19日・法務省)(抄)
「規制緩和推進計画について」(平成7年3月31日閣議決定)に基づき、内外から寄せられた意見・要望に対して、現行の制度・運用を維持するものについて、その必要性及び根拠等を別紙のとおり公表するものです。
15:取締役会のテレビ会議の容認
(中略)
[理由]取締役間の協議と意見の交換が自由にでき、相手の反応がよくわかるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば、テレビを利用して取締役会議を開くことも可能である。
参考② 電話会議容認の裏付け
電話会議の方法による取締役会の議事録を添付した登記の申請について(平成14年12月18日民商3044号民事局商事課長回答)
(通知)
標記の件について、<別紙1>のとおり東京法務局民事行政部長から照会があり、<別紙2>のとおり回答しましたので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
登記の申請書に電話会議の方法による別紙の取締役会議事録を添付した申請があった場合には、同議事録は、出席取締役が一堂に会するのと同等の相互に充分な議論を行うことができる会議の議事録として、適式な取締役会議事録と認められるので、本件登記の申請については、これを認めて差し支えないものと考えますが、いささか疑義がありますので照会します。
<別紙1>
取締役会議事録
令和●年12月2日午前9時30分から、当社本店会議室及び当社大阪支店会議室において、電話回線及び電話会議用装置からなる電話会議システムを用いて、取締役会を開催した。
開催場所 東京都○○区○○1-1-1当社本店会議室
大阪府大阪市○○区○○2-2-2当社大阪支店会議室
出席取締役及ぴ監査役
当社本店会議室 取締役A、B及び監査役D
当社大阪支店会議室 取締役C
上記のとおり、本店会議室及ぴ大阪支店会議室における全取締役及び監査役の出席が確認され、代表取締役Aが議長となって、本取締役会は電話会議システムを用いて開催する旨宣言した。電話会議システムにより、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることが確認されて、議案の審議に入った。
(中略)
本日の電話会議システムを用いた取締役会は,終始異状なく議題の審議を終了したので、議長は午前11時10分閉会を宣言した。
この議事の経過の要領及ぴ結果を明確にするため、本議事録を作成し、出席取締役及び監査役はこれに記名捺印する。
令和●年12月3日
議長代表取締役社長A 印
取締役 B 印
取締役 C 印
監査役 D 印
<別紙2>
第643号をもって照会のありました標記の件については、貴見のとおりと考えます。
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