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こんにちは!公認会計士の榎本です。
2019年6月に、「内部監査人の作業の利用」に関する指針(監査基準)が改定されました。
この指針には、財務報告に係る内部統制評価(いわゆる、JSOX)作業などの関連で、利用される側の内部監査部門として知っておいた方が良い内容も含まれています。
企業サイドで関係する方々の一助になればと思い、新しい指針についてQ&A形式でまとめてみました。
👆内部監査機能を見直すきっかけになるかもしれません!
【使用上のご注意】
何らかのアクションを起こされる場合、必ず、日本公認会計士協会が公表した「内部監査人の作業の利用」(監査基準委員会報告610)でご確認ください。(当方は一切の責任を負いません)
※本記事では、「(独立)監査人」を内部監査人と区分して読みやすくするため、「外部監査人」と表記しています。
外部監査では、必ず内部監査人の作業が利用されるのですか?
(1) 内部監査人の客観性が十分に確保されているか。
(2) 内部監査機能が十分な能力を有しているか。
(3)内部監査機能が、専門職として規律ある姿勢と体系的な手法を適用しているか。(品質管理を含む)
外部監査人が上記(1)~(3)のいずれかに「否」と判断した場合には、内部監査人の作業を利用できません。
ー客観性の確保を高める状況(例)ー
・内部監査人が取締役会、監査役等、又は適切な権限のある者に報告している。
・内部監査人が経営者に報告している場合、取締役会又は監査役等と直接質問や面談ができるといった緊密な連携関係がある。
・内部監査人は内部監査の対象業務に関与していない(職責を担っていない)。
・取締役会又は監査役等が内部監査機能に関連する人事を監視している。
・内部監査機能に対して経営者、取締役会又は監査役等による制約や制限はない。
・内部監査人が、内部監査に関連する専門職団体の会員であり、その会員は専門職としての客観性に関連する基準に準拠することが義務づけられている。
・企業内部に客観性に関連する上記の基準同様の規程がある。
ー能力水準を高める状況(例)ー
・内部監査機能ついて、企業の規模や業務内容に見合った経営資源の配分が、適切になされている。
・内部監査人の採用、研修及び業務分担について適切な規程がある。
・内部監査人が十分な専門的研修を受けており、内部監査の経験を有している。
・内部監査人が関連する専門的な資格や実務経験を有している。
・内部監査人が、企業の財務報告やその枠組みに関連して必要な知識を有している。
・内部監査機能が、機能全体として、財務報告関連の内部監査を実施するのに必要な技能や産業特有の知識を有している。
・内部監査人が、専門職としての基準(継続的に専門的能力を向上することを求める規定を含む)を準拠することを義務付ける専門職団体の会員である。
ー専門職として規律ある姿勢と体系的手法の適用(例)ー
・企業の規模や状況に応じて、リスク評価、内部監査手続書、内部監査調書の作成及び報告等に関する文書化されたガイダンスが適切に作成、保管、利用されている。
・内部監査機能に関して、適切な品質管理の方針及び手続が適用されている。
・専門職団体が設定した内部監査人に関する基準における品質管理の要求事項が、品質管理の方針及び手続に含まれている。
・専門職団体が規定する、定期的な外部の品質評価に関する要求事項が品質管理の方針及び手続に含まれている。
・内部統制の運用評価手続 (例えば、承認手続のテスト)
・棚卸資産の実地棚卸の立会
・財務報告に関連する情報システムにおけるウォークスルー
・活動内容
・組織上の位置付け並びに関連する方針及び手続により確保されている客観性の程度
・能力の水準
・専門職としての規律ある姿勢と体系的な手法の適用
・内部監査人の作業が、適切に計画、実施、監督、査閲及び文書化されているかどうか。
・内部監査人によって、合理的な結論を導くための十分かつ適切な証拠が入手されているかどうか。
・内部監査人の結論が状況に照らして妥当かどうか。
・内部監査の報告書が実施した作業の結果と整合しているかどうか。
・内部監査に従事する方への質問
・ 内部監査人が実施する手続の観察
・ 内部監査人の内部監査手続書及び内部監査調書の閲覧
◆International Professional Practices Framework: IPPF®
(専門職的実施の国際フレームワーク)
◆International Standards for the Professional Practice of Internal Auditing (Standards)
(内部監査の専門職的実施の国際基準)
✔ 内部監査人の客観性が十分に確保されていること。
✔ 内部監査機能が十分な能力を有していること。
✔ 内部監査機能が、専門職として規律ある姿勢と体系的な手法を適用していること。(品質管理を含む)
まずは、内部監査機能を自己評価し、「内部監査の作業の利用」に関して課題の有無を確認してみてはいかがでしょうか。
内部監査の自己評価は、「内部監査人の作業の利用」以外にも監査機能の改善・向上に役立てることができます。