<不正監査対応シリーズ>
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<不正監査対応シリーズ>
「トンネル会社」不正にご注意!

今回は、中国で典型的な手口として知られるトンネル会社」の不正事例について紹介します。

「トンネル会社」とは?

不正実行者が、取引を通過させて利益を落とす手口で利用する会社のことです。

あたかも電車がトンネルをくぐり抜けるように、取引が会社を通過していくため、このようなネーミングになっています。

「トンネル会社」には、
・仕入先として取引に介在させ、不正に利用するパターン(①)
・販売先として取引に介在させ、不正に利用するパターン(②)
の2つがあります。

 

トンネル会社

 

 

トンネル会社は、現地法人幹部、事業パートナーが、自身や第三者(親族や友人の場合が多い)の利益を図り、設立する事例が典型的ですが、既存の親族・友人企業が利用されるケースもあります。

また、購買担当・営業担当など取引決定を行うポジションにある者が主犯となる不正事案も少なくありません。

 

具体的な手口は?

<パターン①:仕入先>

取引フローの上流に、息のかかった会社(トンネル会社)をかませ、中国子会社から利益を吸いとる手口です。経済的合理性のない会社を介在させるため、通常の取引価格よりも高値になっている場合もあります。この場合でも、正式に発票が発行されるため、不正を発見しにくくなっています。

 

<パターン②:販売先>

取引フローの下流に、息のかかった会社(トンネル会社)をかませ、中国子会社の利益を流し込む手口です。この会社に対して、通常よりも安い単価(値引価格)で販売したり、通常売価で販売していると見せかけておいて事後値引やセールス・コミッション名目で支払ったりする取引で不正が行われます。

また、物流システムと会計システムが連動していない場合には、倉庫からの出荷数量から計算した販売金額>会計計上した販売金額(請求対象金額)という数量操作による不正手口もありますのでご注意ください。

 

監査上の留意点は?

“直送取引には要注意!”の記事でも少し触れましたが、トンネル会社不正でも、「この会社が取引スキーム(商流)に介在している合理的理由がわからない。何かおかしい!」と感じとれるように、取引(商流)全体を鳥瞰的に見ておくことがポイントの1つになります。

 

たとえば汎用品の大口取引先で、取引先の向こう側(X社の仕入先・Y社の販売先)に有名企業が存在しているとしましょう。このような場合で、「なぜ、この会社(X社・Y社)を通しているのか?」について、「過去の経緯」「上司が決めた」といった説明だけで、合理的理由(たとえば、ロット・サイズに関係なく短納期で納入してもらえる仕入先だから等)がない場合には、注意を払っておくべきでしょう。

現地の人間でも、社名を聞いたことがない会社を詳しく調べてみたところ「取引先が当社以外にほとんどない、トンネル会社だった!」というような不正発見につながるかもしれません。

なお、仕入サイド・販売サイドともに、商社(卸売業者)の顔をして取引に関わっている事例が多いこともお忘れなく!
直送取引のケースが多く、伝票が通過しているだけのペーパー・カンパニーであることも少なくありませんのでご注意ください。

 

■仕入サイドの留意点

・特定の業者からの購入単価を通常価格よりも高く設定していないかを確かめておきましょう。

・業者選定のプロセスに問題がないか確認しておきましょう。
➡取引可否の判断に必要な情報(業者の背景が判る情報)が十分収集されているか?
➡取引先の承認権限者と発注者・発注権限者との職務分離ができてるか?

業者の背景情報(例)…設立年月日、代表者・役員の構成、主な取引先、従業員数等、少なくとも実体の有無を判断するための情報は収集しておきたいものです。

 

■販売サイドの留意点

・特定の販売先へ他の販売先よりも安い単価で販売していないか確かめておきましょう。

・取引先の審査プロセスに問題がないか確認しておきましょう。
➡取引可否の判断に十分な情報(業者の背景が判る情報・与信に関する情報)が収集されているか?
➡取引先の承認権限者と発注者・発注権限者との職務分離ができてるか?

・「トンネル会社」は、与信管理が甘くなり売掛金の滞留が発生するケースがあります。滞留売掛金が常態化している場合には、「トンネル」会社でないかにも注意を払っておきましょう。

・倉庫からの出荷数量と販売数量に差異がないかチェックしておきましょう。
➡出庫票(モノの動き)、売上明細及び発票の数値・金額(カネの動き)は一致しているか?


・値引の実施やセールス・コミッションの支払についても異常性がないか留意しておきましょう。
➡承認に関する職務分離が適切に行われ、値引処理・支払処理プロセスで内部牽制が働く手続になっているか?

 

まとめ

監査を進めていくなかで、

・スタッフ一人に権力が集中しすぎている
・全てを中国人スタッフに任せて日 本人のチェックが全く入っていない

といった「放任状態だなぁ~」と見受けられ場合には、「トンネル会社」不正にも十分配慮しておくことが必要です。