今回は「そんな不正があるの??」と思った、実例を紹介します。
それは、、、
ある日系中国生産子会社で発生した不正です。
ロス、スクラップ(作業くず)に関してありがちな不正は、価値があるのに管理の甘いスクラップを横流しするという不正だと思います。
がここでの紹介事例は、「えっ、そんな手口、日本では考えられへん!」という不正です。手口は超単純!
判明した不正事例
❶ 生産工程で工員が、わざと仕損じを発生させる。
❷ 生産数量が、その日の目標に達せず、追加生産指示を行う。
❸ 上記❷に伴い、残業が発生。
❹ 当然ながら、残業代を支給。
なんと!
意図的な仕損じは残業代を狙った不正行為だったのです。
(この不正は、ロス率/歩留り率の悪さの原因調査から判明)
重要:残業代・ロスのおかしな数字⇒ビジネス実態把握
■残業代について
その残業代、異常な発生状況になっていない?
⇒会社全体で見てどうか?
⇒部門別に見てどうか?
⇒人別に見てどうか?
内部統制・手続だけをテストしていても、
金額だけを漠然と眺めていても、なかなか不正検出には至りません。
例えば、
「工程別連続生産でどの工程でも同じように残業時間が発生するはずなのに、なぜ?」
「なぜ、この人だけ残業代が多く発生しているの?」
と、おかしな数字(金額)からビジネス活動がどうなっているいるのかの追求・調査が
大切です。
ここで紹介した手口は稀な事例ですが、虚偽の時間申請(紙・データの操作)など他の手口を
発見する上でも、ビジネス活動の実態把握が監査上欠かせません。
■ロスについて
そのロス、異常な発生状況になっていない?
発生しているロス率や歩留り率をみて、内部監査人が異常かどうかを判断するのは実際のところ難しいと思います。
また、ラインの生産管理で見ているはずですしね。
但し、人員数などの関係でロス管理に十分、目くばせできないような状況であれば特に要注意です。
極端にいえば、社長がロスを見ています!みたいなケースなど、です。
では、どんなことならできるでしょうか?
〇 他に同じ製品・生産工程がある会社(国内・海外)があれば、事前にロス/歩留まり率を把握し比較分析
〇 生産にあたっては、ロス/歩留まりの理論値を持っていると思います(現地/統括会社/日本本社)。
⇒事前に確認し、比較分析
〇 製品別や必要に応じてシフト別などの見方
あまり深く調査しても、この分野の監査で、不正や生産上の問題点を指摘し原因分析・改善提案まで行うのはしんどいというのが実情ではないでしょうか。
であれば、
「XXXに比べて、こんなにロスが発生している。今のままほっといていいの?」
という不正発見や改善のキッカケづくりまで、と割り切って監査を実施する!これでも監査のバリューになると思いませんか?
なお、上記に記載しましたが。。。
国内外に関係なくスクラップの不正はよく発生しています。
例えば、フードロス。これも飼料会社にとっては原材料としての価値があります!
「お金をもらえるスクラップがあるならその“モノ” “カネ”の管理は大丈夫か?」という観点でチェックしてみてください。
その業務が一人任せになっていたら、業者と癒着するなど、ホントに危険ですよ。
大会社の、たとえ数万・数十万でも経営陣が知ったら、「それぐらいなら、まぁいいか~」とはなりませんからねぇ。
(榎本成一)
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