商品在高帳とは、商品の種類別に商品在庫の増減を記録する補助簿です。
商品在高帳は商品ごとに勘定口座(A商品、B商品と言った単位)が設定されますので、それぞれの商品の在高がわかります。
では、次の取引を商品在高帳に記帳してみましょう。
クマ商会は、次の取引を行った。
[4月5日]
ネコ商会からA商品10個(単価50円)を仕入し、代金は買掛金とした。
[4月5日]
サル商店にA商品10個を販売し、代金は売掛金とした。
[4月15日]
トラ商店からA商品5個(単価50円)とB商品10個(単価100円)を仕入し、代金は買掛金とした。
[4月15日]
ゴリラ商会にA商品5個とB商品10個を販売し、代金は売掛金とした。
[4月20日]
ネコ商会から4月5日に仕入したA商品に傷があったため、商品代金を1個あたり5円値引きしてもらい(5円×10個=合計50円)、掛け代金と相殺することとした。
[4月30日]
商品在高帳を締め切った。
商品在高帳に商品の数量と単価を記入します。数量はわかりますね。
一方、単価ですが、同じ商品でも仕入れる時期で単価が異なってきます。以下に記載します、個別法と言われる方法ならば、一つ一つの商品に単価がついていますので、問題ありませんが、この個別法は手間がかかる方法ですので、不動産や宝石と言った高額品の仕入以外では、通常採用されません。
従って、商品の単価を求めるには、なんらかの仮定をおいて計算します。
そして、この商品単価を計算方法には以下のようなものがあります。
①個別法
商品一つ一つの取得価額(実際に購入にかかった金額)をもって、商品単価とする方法です。実際のモノの流れと帳簿上の計算が完全に一致する方法ですが、実務上、たいへん手間がかかりますので、代替する商品などを取り扱う場合には向いていません。
②先入先出法
先に仕入れたモノから先に払い出しされたと考えて、商品単価とする方法です。在庫は後から仕入れたモノから構成されると考えます。
③後入先出法
後に仕入れたモノから先に払い出しされたと考えて、商品単価とする方法です。在庫は先に仕入れたモノから構成されると考えます。
④移動平均法
仕入の都度、商店在庫残高金額と商品仕入金額を合計して、商品在庫数量と商品仕入数量の合計で割って、順次、商品単価を計算する方法です。在庫は期末から最も近い平均単価のモノから構成されると考えます。
⑤総平均法
毎月等、一定の期間の商品仕入総額を商品仕入数量で割って、その平均を商品単価とする方法です。在庫もこの平均単価でもって計算します。
⑥最終仕入原価法
期末に最も近い日に購入した仕入単価を商品在庫の単価とする方法です。仕入商品の価格変動が大きい場合、実際の仕入価格との誤差が大きくなることがあります。
日商簿記3級で出題される可能性が高いのは、②先入先出法、と、④移動平均法ですので、この二つの方法により、商品在高帳を記入していきましょう。
4月5日に売上された商品は、4月1日時点で残っている商品から販売されたとして、4月1日時点で残っている商品単価を採用しています。
4月5日に売上された商品は、4月1日時点で残っている商品と4月5日に仕入れた商品を合計して、平均単価を算定し、それをもって販売された商品の仕入単価としています。
- 摘要欄には、取引の内容を記入します。
- 受入欄は、商品を仕入れた時に、数量、単価、金額を記入します。
- 払出欄は、商品を販売した時に、数量、単価、金額を記入します。
- 残高欄は、在庫として残っている商品の数量、単価、金額を記入します。
なお、B商品の商品在高帳の記入は以下のとおりとなります。
(中井達也)