受取手形記入帳とは、受取手形の増減を記録する補助簿です。
では、次の取引を受取手形記入帳に記帳してみましょう。
クマ商会は、次の取引を行った。
[4月 5日]
サル商店にA商品1,000円を販売し、代金はサル商店振出しの約束手形を受け取った。
[4月15日]
ゴリラ商会に対する売掛金1,500円について、キツネ商店振出しの約束手形を裏書きで譲り受けた。
[4月25日]
3月5日に受け取ったチンパンジー商店の約束手形2,000円の満期日が到来し、当座預金に入金された。
[4月30日]
4月5日にサル商店から受け取った額面1,000円の約束手形を銀行にて割引き割引料50円が差し引かれた残金を当座預金とした。
- 摘要欄には、取引の内容を記入します。
- 金額欄には、手形金額を記入します。
- 手形種類欄には、約束手形の場合は「約束手形」、為替手形の場合は「為替手形」と記入します。
- 手形番号欄には、手形番号を記入します。これは受け取った手形に番号が記載されていますし、試験では問題文に記載があります。
- 振出人又は裏書人欄には、手形の振出人又は裏書人を記入します。裏書手形の場合、支払人の名称と異なってきます。
- 振出日欄には、振出日、満期日欄には、満期日を記入します。いずれも受け取った手形に記載されていますし、試験では問題文に記載があります。
- 支払場所には、金融機関名を記入します。これも受け取った手形に記載されています。
- てん末欄には、手形の決済、割引、裏書と言った、その手形がどうなったかを記入します。裏書と記入するのは、受け取った約束手形を、買掛金の支払いに充てるため、仕入先に裏書譲渡した場合に「裏書」を記入します。
受け取った約束手形や為替手形を満期日前に銀行に持ち込んで、現金化することを「手形の割引」と言います。
手形は振り出された日から30日、60日、90日となど一定期間を過ぎてから、現金になります。この期間が長いと、会社の運転資金(現金)が不足することもありますので、持っている手形を裏書譲渡する場合のほかに、銀行などで割引して、期間が到来する前に現金化するのです。
但し、会社に社会的信用がないと、銀行は割引に応じてくれないこともあります。銀行との取引実績だけでなく、振出人である会社が上場企業であるかどうかと言った、社会的信用により異なります。
割引きをしてもらう場合、現金化した日(割引日)から満期日までの利息を銀行に支払わないといけませんので、手形に記載の金額(額面金額)よりも、受け取る現金は少なくなりますので、割引きしてもらった方がいいのか、別途、銀行から借入を行って、当面の運転資金を賄うのかを決める際には、割引料か借入金利息を比べ、費用が少ない方を選びます。
そして、この額面金額と受け取った現金との差額は、「割引料」勘定で処理します。上記の4月30日の取引を仕訳にすると以下のとおりになります。
(借方) 現 金 950 (貸方) 受取手形1,000
割引料 50
しかしながら、日商簿記3級では、「割引料」勘定ではなく、「手形売却損」を言う勘定を使用しますので、試験の際には気を付けてください。
(中井達也)