ファイナンスにおけるIRの重要な役割って?

日経新聞朝刊(第一面)で「経営計画・リスク明記 有価証証券報告書に」という記事がありました。


この機会に、リスクに関係するIR(Investor Relation=投資家相手の広報活動)の重要な役割ついて確認しておきたいと思います。


この記事をお読みいただければ、IRの役割が商品やサービスの広告宣伝とは別のところにもあることをご確認いただけると思います。

投資家にとっての“リスク”とは

“リスク”の意味

投資家を対象とした“ファイナンスの世界では、“リスク”は「どうなるかわからない状況(不確実性)」を意味します。したがって、「株価が下がる=リスクがある」ということではないのです。なぜなら、確実に株価が下がることが分かっていれば、空売りをして儲けることができるのですから。この点が、日常的に使う「リスク」との意味の違いです。まず、これをしっかり頭にいれておきましょう。

リスクが高い/低い

投資家にとっての“リスク”とは、「不確実性」です。

では、下図で「不確実性」が高いのはA社株式でしょうか?B社株式でしょうか?

・・・・・値動きの大きいB社株式であることがわかりますね。つまり、B社株式の方がリスクが高いのです。

一般に使う“リスク”の感覚からすると、直感的に右肩下がりのA社株式の方が「リスク高い」と思いませんか?
⇒わたしがファイナンスに関する知識がないときにはそう思っていました!

そもそもの投資家にとってのリスク概念を理解しておくことはIR上、基本中の基本のなので、しっかりインプットしておきましょう。

投資家のリスク&リターン/企業の資金調達コスト

ハイリスク・ハイリターン

あなたが投資家でお金を出す立場だとしら、リスクが高ければ高いほど大きなリターン(見返り)を求めませんか?いわゆるハイリスク・ハイリターンです。

これを企業側からみると、投資家にリスクが高いと認識されると資金調達コストが上がることを意味することが分かっていただけると思います。

株価への影響

資本調達コストの上昇は、言い換えれば株主価値が下がる・毀損することを意味します。そうすると、当然ながら株価が下がることになります。
ですから、資本調達コストを下げることは企業にとって、たいへん重要な目標になるはずです。

ところが、多くの企業では投資利回りばかりに目が行き、調達サイドに関する取り組みがおろそかになっていると言われています。

上図でいうと、企業のボックスの左側だけでなく右側についてもしっかりマネジメントしていくことが大切です。

IRの重要な役割

資金調達コストを下げようとすると、投資家のリスク認識を下げる取組みが重要であることを理解いただけたと思います。

では、投資家のリスク認識を下げるにはどうすればよいでしょうか?

それは、、、。できるだけ投資家にサプライズを感じさせないことがキモになります。

そのためには、企業情報を適時・適切に公表・開示するということが大切なのです。

 

ここまでくれば、ご理解いただけたのではないでしょうか。

IRの重要な役割の1つに、

「適時開示⇒資金調達コストを下げる⇒企業価値を増大させる」

ことにあることを。

まとめ

  • 企業価値の増大のためには、資金の運用面だけでなく、調達面でのマネジメントが大切!
  • 調達面のコストに影響するのは投資家のリスク認識!
  • 投資家のリスク認識を下げるためには、適切な企業情報のタイムリーな公表・開示が大切!

つまり、

IRの重要な役割=適切な情報開示⇒資金調達コストを下げる⇒企業価値増大に貢献すること!

 

以上、ご参考になれば幸いです。

(公認会計士 榎本成一)

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